水葬について

水葬の方法

死者の遺体を葬る方法は国や地域によってさまざまですが、死者の世界に送り出すという意味合いを持っているものが多いです。

自然に還すことで、死者の世界に行けるという考え方もあります。自然と聞くと樹木葬で墓標として用いる樹木や土などをイメージする人が多いですが、海や川の水も自然のものです。そして、海や川に死者を送り出すという考え方のもとで行われるのが水葬です。

水葬の具体的な方法は大きく分けて2種類あります。ひとつは遺体を海の底に沈めるやり方です。

海の底深くで死者の世界に行くという考え方で、海葬と呼ばれることもあります。もうひとつは小さな舟に遺体を乗せて沖の方に流すやり方です。海葬と区別するために舟葬と呼ばれています。

いずれの水葬も現在の日本においては法律上認められておらず、死体遺棄罪になってしまうため行われていません。

ただし船舶の航行中に亡くなった人に関しては、ごく限られた条件のもとで例外的に認められています。

水葬が行われている国や地域

現在ではほとんどの国や地域で水葬は主流ではありません。しかし、宗教などの理由で水葬が現在でも行われているところもあります。たとえば、インドはヒンドゥー教の影響が強く、水葬が現在でも行われている珍しい例のひとつです。

インドの人口は約13億人で、そのうち8割がヒンドゥー教を信仰しているため、かなりの人数の死者が水葬により葬られているということになります。

ただし、インドで行われている水葬は、海に遺体を沈めるのではなく、ガンジス川に流す方法が採られています。また、水葬を行う前に遺体を償却しているのもインドで行われている水葬の特徴です。純粋な水葬ではなく火葬と合わせたものと捉えておくといいでしょう。

また、アメリカではカリフォルニア州など一部の州で水葬が認められており、アルカリ加水分解などの処理を施した上での水葬が可能です。

墓地を確保するのが難しい場合には、樹木葬と並んで供養の方法として注目を浴びています。